出産・育児で180度変化した価値観とライフスタイル
ー村田さんはタクミテーブルの創業メンバーですが、前職までは今の設計の仕事とは全然違う業種だったとか。
そうですね。いわゆる「事務仕事」で、総務ってやつでしょうか。その前までは、北海道から東京に出てきて、歌手を目指していた時期なんかもあって。その流れで音楽関係の裏方の仕事とかボイスレッスンの講師とか、いろいろやってました。歌手だけでやっていけるような甘い世界じゃないですからね~。
でも、いろんな仕事をかけもちしていたせいで、生活があまりにもバタバタしてしまって。「ちょっとこの生活から一旦抜け出してリセットしないといかんな」と思っていた頃にちょうど主人が愛知へ転勤になりまして。ついに愛知県民としての人生がスタートしました(笑)。
そんな流れで愛知で事務仕事をしばらくやっていました。そして出産も経験して、いろんな意味で人生や生活スタイルがガラッと変わりましたね。
ー女性はやっぱり出産や育児で働き方や職種を変えていかなければならない部分も大きかったと思いますが、どうでしたか?
本当にそうです。私はタクミテーブルの創業メンバーですが、その当時、息子が1歳で。
創業時には社長も入れて3人しかいなかったので、仕事自体もまだ落ち着かない中、乳幼児の子育てはなかなかハードなものがありました。子供を保育園に預けることはできましたが、1歳なんてすぐに熱出したりしますから、出社した途端に保育園から「お熱出ちゃったので、迎えに来てください」と電話がかかってきて、出社1分で退社、みたいなこともありましたよ(笑)。
でもそういうライフスタイルに変わったからこそ、仕事でも「もっと効率よく合理的に動かなきゃ」というスピード感や、優先順位への意識が強くなりました。
ー今は設計を担当されていますが、基礎の無い状態からのスタートだったんですよね?
普通の事務をやっていたのに、まさか設計を仕事にするとは思いませんでしたね(笑)。
もちろん私も「こんな素人が、図面を描く知識やソフトの使い方とか覚えられるのかな?」という不安はありました。最初に講習みたいなものは行きましたが、基礎の基礎しか教えてくれないので、ほぼ独学に近いですかね。
設計に限らずなんの職業でも同じだと思いますが、やっぱり場数踏んで、必要に迫られながら必死に覚えていくしかないんですよね。
でも歌手時代にも機材を扱ってアレンジや音響なんかもやってましたし、個人的にゲームとかも好きなほうなので、ソフトをいじることに慣れていたのはラッキーでしたね。
息子との推し活、サイコー!
ーそんな息子さんも今や大きくなって、だいぶ落ち着きましたか?
いやあ……どうかな~ (笑)。いわゆるイヤイヤ期とかは大変な暴れん坊だったので、その時期に比べたらずっと良くなりましたけど、個性が強い子なのでうまく導いてあげるのがいまだに難しいなと感じます。
でも、同じように「うちの子はなかなか難しくて…」というお客様のお気持ちに寄り添うことができるので、多少は仕事にも活かせているかなと思う部分はあります。
ー村田さん自身はどんな子供時代でしたか?
うるさい子です(笑)。良く言えば「活発」ですけど……男子と一緒になってドッジボールで大騒ぎしてるような男勝りの女子でしたね。
でも小学5年生のときに、「無視ごっこ」みたいなのが流行っちゃって。その標的にされたときはやっぱりショックでしたね~。あんなに騒いでた私が、初めて「黙る」ことを覚えました。でも友達が一人もいないわけじゃなくて、近所の子とは仲良くやってたので深刻な事態には至りませんでしたけどね。それでも私の中ではショッキングな事件でした。
息子の環境でもそういうことが絶対に起きないという保障はないので、あのときの自分の気持ちを大切にして、育児に活かせたらなと思います。
ー息子さんと共通の趣味があるとか?
ま、いわゆる推し活ですね(笑)。よく、お母さんが誰かのファンで、そのうち子供もそれに影響されて好きになっちゃった、みたいなパターンは聞きますが、うちは逆で。
息子が4歳のときに、やけに名前を呼ぶな~と思って、「そんなに気に入ったの?」と私も見ているうちに「いいじゃん!」とすっかりハマってしまいました(笑)。一緒にテレビや動画などを見てる時間がすごく楽しいですし、この前なんか激レアのチケットが当たったので、思い切って息子と一緒に初遠征も行ってきました!
ーえーと……ご主人は一緒に推し活しないんですか?
しないです(笑)。
LIXILのデザイン賞(リフォーム部門) を受賞!
ー村田さんといえば、全国5,531点の中から、2021年に「LIXILエクステリアコンテスト リフォーム部門」で銅賞を受賞しましたね!
ありがとうございます!設計としての経歴は決してベテランではなかったので、ビックリでした。もちろん私だけの手柄ではなく、営業さん、職人さん、事務方の皆さん、全員の力での受賞ですし、そんな素敵な機会をくださったお客様に巡り会えたことがとても嬉しいです。
たまたまですが、最初のお問い合わせからずっと私が受け持たせていただいたお客様なので、思い入れもひとしおです。
設計ソフトの扱いも覚えたての頃でしたし、「エクステリアデザインとは」という自分なりの確立したものもまだ持っていなかったので、思い切ったデザインや仕様をふんだんに盛り込み、豪華なデザインを心がけて作ってみました。その思いきりの良さも審査員の皆さんに響いたのかもしれないですね。
そのお客様からは、表札の変更や細かなリフォームなどでいまだにご依頼を頂いていて、いいお付き合いが続いているのがまた嬉しいです。
ー他に、どんなときに設計としてのやり甲斐を感じますか?
お客様や営業さんからデザインを委ねられて、必死に考えて作ったデザインが採用されているのを知る瞬間は「頑張って作って良かった!」と思います。
ーこれからやってみたいことはありますか?
えーと、これはもう個人的な域の話なんですが、ソフトをいじるのが好きな者として、いま流通している設計ソフトに使いづらい点がまだまだたくさんあるので、ソフトメーカーさんに上級者版を作ってもらって、それを完全に使いこなしてみたいですね(笑)。「こんな機能があるのか!」という発見はもうたまらない興奮があるので(笑)。