前回ご紹介しました超高齢社会を迎えるにあたって、エクステリア事業者には一体何ができるのか?
今回もそのような観点から、高齢化とは切っても切れない「介護」と絡めてお伝えしていきたいと思います。
介護エクステリアにおいて重要なことが2つありますので、1つずつお話致します。
1.介護の段階によって求められるものが異なります
意識されていらっしゃる方には当たり前かもしれませんが、まずは介護が必要な方がどれくらいの介護段階なのかを把握してください。それによって、お庭が担う役割も異なります。
例えば、高齢でも外出できるようでしたら、なるべく外に出やすいお庭を作ってあげることが重要です。しかし、お庭の工事費用は高額になるので、そのライフステージのみに最適化したお庭ではなく、一歩先を考えたお庭づくりも必要です。
外に出やすいお庭+在宅介護がしやすいお庭があれば、一回のお庭工事で長年使いやすいお庭を作ることができます。施工案としては、介護する場所から駐車場までの距離を短くするなどが考えられます。また、介護者が身内とは限りませんので、寝室を駐車場の横に設けることで他人にプライベート空間へ入られないお家にすることもできます。
このように、現在のご希望を叶えることも重要ですが、一生に数回も行わないエクステリア工事ですので、できる限り長く便利に使えるような施工を行うことが重要です。これが実現できるかどうかは、ノウハウや経験をお持ちの業者さんをしっかりと選定いただくことをおすすめします。
また、忘れてしまいがちですが、介護者が必要かどうかでも大きく異なります。介護する人がいない(ご夫婦や単身暮らし)場合は、人の動きの方向性として内側から外側へと向けることが大事です。「外に出ましょう!」という、引きこもりにならないような考え方です。この辺りを考えることが、建築とエクステリアの違いです。
2.建築士の目線からお庭を提案できます
上記のような介護のしやすさなどの実用面が大事なことは言うまでもありません。
しかし、終の棲家として決められている方が多いことも事実ですので、「お庭を見るだけでワクワクするようなものを施工したい!」というのも、建築士としての願いです。
エクステリアは、町並み・地域と深く関わります。ひと目見てわかるかっこよさもデザインですが、毎日の生活の中で輝く機能美こそデザインだと思っています。
都市部では減っているかもしれませんが、近隣とのコミュニケーションのためにお庭は有効ですし、今後も重要であることに変わりはありません。その時に地域社会とお家を繋ぐためにお庭(エクステリア)があります。お庭の機能性が悪いと地域社会との関係を絶ってしまったり、プライベートが確保できなくなってしまいます。先程も記載しましたように、お庭が担う役割が一つのステージのみになります。結果、コストパフォーマンスが悪いお庭として利用することになります。
そうではなくて、お施主様やご家族のご意向を深くお聞きし、良い意味で『ちょうどよいお庭』を施工することを心がけています。
例えば、お庭が大きい70歳のご夫婦でしたら、お庭にある植物・石・造作物などの想い入れをお聞きします。通常のお家ですとお庭は南側(日当たりの良い場所)にありますが、最終的には終の棲家として日当たりの良いところに寝室を構えるケースがあります。敷地の作りにもよりますが、お庭に車を出し入れしやすくし、介護に関わる全ての人が楽になるような作りにします。
ここまで考えると、道路からお庭への駐車計画を練る必要がでてきます。だからこそ、今のお庭をどうやって動かしたり、撤去したりする流れを一緒に話し合い、お庭への想い入れを実現できるリガーデン計画を立てていきます。
当社では、このような建築士から見たデザイン+機能美ができ、一歩先の良いお庭を作ることが介護エクステリアの使命だと思っています。
介護エクステリアという言葉は馴染みがないかもしれませんが、これからの時代に必須になるエクステリアです。些細なことでも構いませんので、エクステリア(お庭)の介護に関することでしたらいつでもご連絡ください。