高齢化社会の日本で、介護を重視したエクステリアは今後拡大していくと思われます。
しかし、エクステリアや外構工事の第一線で働いている人々が介護に対する意識が弱いままでは、高齢化社会を迎える日本を支えていくことはできません。介護リフォームは、従来のような見た目優先のデザインでは本質的な役割を果たせません。
タクミテーブルの代表として、介護リフォームにおけるエクステリアの在り方をお伝えできればと思います。
手軽にできることが本質的な問題解決に繋がるとは限りません
エクステリアは、資格が必要ない業界です。名乗ることに抵抗がないのでしたら、明日からでもすぐに「エクステリア事業」を立ち上げることができます。
そのため悪く言えば、誰でも参入できて、簡単に思いつくことだけで問題解決を図ることもできます。その最たる例の一つが、スロープや手すりを設置することです。
とは言え、すべてのスロープや手すりを否定するつもりは一切ありませんし、むしろ重要だとも思います。しかし、本質的に問題解決できるかどうかと言われると、「?」が残ります。
作業療法に詳しい友人から聞いたのですが、リハビリにおいて欠かせない作業療法としての観点から見ると、「外出する際に必ず玄関から出る必要はありませんし、寝室やよく使うお部屋から外までの最短距離を短くするほうがスロープや手すりを利用するよりも効率的になる。」とのことでした。その観点にエクステリアの観点を足すと、最短距離を短くする過程でスロープや手すりが必要でしたら利用するのは良いと思いますし、他にも家庭ごとに活用方法はあるはずです。そこの提案は、エクステリア業者がどれだけ介護に詳しく、全体像を考えられるかがキーになります。
一番重要なのは、介護を中心とした日常生活を送る上で、何があると生活がグッと楽になるのか?を考えることです。ここに正面から向き合って、ご自宅のエクステリアや外構工事を考えていきましょう。
どんなに小さなことでもこだわり抜くことで、人生が好転するエクステリア
昔に比べてバリアフリーの概念が広がり、公共機関でバリアフリーが取り入れられてきたため、日常生活を送る上での物理的な段差はかなり減ったように思います。
しかし、それは我々が日常生活を送る上での「減ったように思う」という感覚であって、介護を必要としている方々からすると、手が届いていない部分が多いというお声があるのも事実です。
我々の仕事として、そんな少しの段差や導線などを見直し、介護を受けている方々が前向きになれるようなエクステリアをする必要があります。
本当にその階段は必要なのか?
よく見ると道が平らになっていないのでは?
など、細かなポイントを丁寧に見返すことで、「たったこれだけのことで…」と何かの行動を諦めることがないようなエクステリアができます。
小さなことでも、常に生活される方に寄り添う。こんな気持ちでエクステリアに向き合っています。
最後に
超高齢化社会を迎えたとしても、エクステリアの本質は変わらず、生活される方が快適に、外に出る楽しさを味わえるお庭を作ることです。介護を想定した家造りは必要ですが、それは本質を追求した上に乗る概念であります。
タクミテーブルとして、一人のエクステリア事業に従事する者として、皆様が喜んでいただけるようなお庭の工事を施工できれば嬉しいです。