昨今のアウトドアブームの中で、バーベキューは注目を集めています。
その中で、自宅で気軽に行える「お庭バーベキュー」は、昨今の外出自粛とも相まって、特に人気があります。
今回はバーベキューの専門家として、「バーベキュー芸人」として多くのメディアに出演されている、たけだバーベキューさん(以下、バーベさん)に「お庭バーベキュー」についてお聞きしました。
初心者から上級者まで、快適な「お庭バーベキュー」を行うためのコツをご紹介いたします。
お庭バーベキューとは?
大きな「アウトドア」の分類の中に、「登山」「キャンプ」「釣り」「サーフィン」といったカテゴリーがあり、その中の一つが「バーベキュー」です。
「バーベキュー」とはアウトドアでの食材の調理や、その調理したものを飲食することです。
それを川や山のバーベキュー場に出向いてイベント的に行うのではなく、自宅の庭などで行うことが「お庭バーベキュー」です。
たけだバーベキューさん
1986年生まれ。兵庫県出身。
自然をこよなく愛する吉本所属のアウトドアタレント。趣味は焚き火、カヤック、ソロ海外旅行、狩猟免許を保持しているので、冬は“ハンディングたけだ”と化し雪山で狩猟に勤しむ。
キャンプ好きが高じて料理に目覚め、BBQレシピ本を多数出版。その累計は20万部を突破。
カナダアルバータ州BBQ大使としての顔も持ち、国内外問わず幅広く活動を行っている。スパイス検定2級も所持し、その知識をバーベキューレシピの随所に活かしている。
豪快なバーベキューレシピを披露する一方、誰でも簡単におしゃれで盛り上がるバーベキューレシピも提案し、BBQを通してのコミュニケーションを広げる活動をしている。
加納
今日は常滑(愛知県)までお越しいただき、ありがとうございます。それでは早速質問をさせていただきます。バーベさんが「お庭バーベキュー」と聞いた時、どんなイメージを持たれますか?
一般的に、日本での「バーベキュー」はイベント性が高く友人知人などのグループで「今日はバーベキューの日だ!」と準備万端で始めるイメージが強いかと思います。それに比べ、本場アメリカのそれは生活の一部となっているイメージです。「調理法の一つ」「食事の方法の1つ」といったように、日本のそれと比べるとライトなイメージに感じます。 そんな意味では、「お庭バーベキュー」は本場アメリカの考え方に近いかもしれないですね。
バーベさん
加納
そうなんですね、お庭バーベキューが本場よりというのは意外でした。バーベさんご自身は「お庭バーベキュー」はよくされますか?
数年前から活動拠点を都内に移し、「屋上バーベキュー」や「ベランダバーベキュー」が多くなりました。「屋上」や「ベランダ」も用途としては「庭」に近いと思いますので、これも「お庭バーベキュー」ですね笑 「お庭バーベキュー」の利点は、ライフライン(水道、電気、ガス、ネット環境など)が近いことです。それにより利便性が大幅に向上するため、バーベキューの楽しみ方のバリエーションが格段に増えますね!
バーベさん
加納
アウトドア要素の強いバーベキューの場合は基本的にライフラインに不自由することが多い気がします。その点、ご自宅内での開催は大きなメリットですよね。その他お庭でバーベキューすることについて、具体的なメリットはありますか?
けっこうたくさんあります笑
①調理器具や調理法のバリエーションが増えることです。
ホットプレートやガスグリルなどの調理器具を使える事はもちろん、キッチンが近いので、冷製のメニューや鮮度が重要な食材、要冷蔵・冷凍ものが使いやすくなります。カルパッチョなどの前菜は人気がありますね。
クーラーボックスでは温度管理が難しかったり運びづらい物も、適温で保冷できます。
また、事前に長時間煮込むようなメニューでも、自宅の調理器具で調理を済ませてから食べるまでの時間も短縮できるので、温め直しなどの手間もかからないです。
ホームパーティーのような感覚で遠方から来る友人を招くのでしたら、その土地ならではの食材を使ったりすると喜ばれます。食材選びの幅が広がるのも嬉しいですね。
②雰囲気を出すためのアイテムも幅が広がります。
ランプなどの照明設備はもちろん、BGMや動画など、盛り上がるアイテムを取り入れやすくなりますね。焚き火のBGMなどもウケが良いです。
また、普段室内で使う家具などを屋外に持ち出してみると一味違った雰囲気を味わうことができます。
さらに、昨今ではスマホやタブレットなどで音楽を再生したり、思い出の写真や動画を撮影をしたりすることが多いかと思います。普段よりハードに使用することが多いため充電も減りがちです。そんな時に気軽に充電できる設備が近いことも利点ですね。
③小さなお子様と一緒でも安心!
小さなお子様がいらっしゃる場合、バーベキュー場ではなかなかお子様から目が離せないですよね。
危険な遊びをしていないか、迷子にならないか、他のお客様にご迷惑をおかけしないか…。お庭バーベキューはご自宅開催という特性上、バーベキュー場に比べて目が届きやすいです。そのため、小さなお子様への心配は軽減できるかと思います。
また、トイレ事情、着替えの調達、急な体調の変化、飽きてしまったり寝てしまったお子様への対応など、利点が多いこともお庭バーベキューの魅力ですね。
④移動時間が少ない分、アイテムの設置に時間をかけられる!
お庭は日常の延長の場でもあります。しかし、そこにタープやハンモック、テントなど、アウトドアグッズを設置するだけでも非日常のドレスアップが可能です。お庭に川や山がない分、気分の盛り上がるアイテムを設置してみてはいかがでしょうか?
⑤荷物運びが楽!
飲み物や食材を運ぶのは大変ですよね。
またバーベキューグッズもなかなかかさばるものです。ほとんどの場合がご自宅の駐車場からお庭までの短距離になりますので、荷物運びの手間を考えると圧倒的に楽になります。
それだけではなく、料理の作り方の検索、急な気候の変化への対応など便利な点が多く、「お庭バーベキュー」はバーベキュー初心者から上級者までその人に応じた楽しみ方ができます!
バーベさん
加納
言われてみると、なるほどなあと思いますが、こうやって具体的にお聞きすると、「お庭バーベキュー」は皆さんの想像以上にメリットが多いかもしれないですね。反対に、デメリットと言いますか、「お庭バーベキュー」をする上での注意事項を教えて下さい。
よくある代表的なもので言いますと…
①ご近所への配慮
大声を出さないなどのマナー、煙の出にくいレシピ(油分が少ないもの)、風向きを考慮したコンロの設置、鳥害や匂いなどが起こらないような後片付けなどが重要かと思います。バーベキューをやっている時はもちろん、やった後にも迷惑をかけない配慮は必要ですね。
その点では、キッチンが近い利点を活かし、ガスコンロでの調理や火を使わなくてもいい調理などを増やしたり、生ゴミの処理はキッチンを使用するなど、キッチンを併用することでも負担は軽減できるかと思います。
②ストレスにならないバーベキュー
知り合いのアメリカ人のご家族は、毎日のように「お庭バーベキュー」を楽しんでいます。Instagramでお庭バーベキューを頻繁に紹介しているんです。
しかし、そのご家族の「お庭バーベキュー」は、多くの方がイメージされている「意気込んで準備する」形ではなく、とてもライトなものです。七輪でパッと火起こしして、食べ終わるとササッと片付けて室内に戻る。
準備するのも楽しいのがバーベキューですが、それがストレスに感じてしまっては本末転倒です。特に、洗い物や火消しなどの後片付けはストレスに感じがちですので、シンプルに始めることをお勧めします。
①と重複しますが、近隣の方のストレスになることも避けたいですね。十分な近隣対策が必要です。
③怠ってはいけない後片付け
「お家に帰るまでが遠足」的な理論ですが、「片付け終わるところまでがお庭バーベキュー」です。
当たり前ですが、火の始末は最重要項目です。火の付いた炭は水で消化しても、乾燥させれば再利用可能です。炭ツボなどで保管したり、確実な消火を行いましょう。
また、器具の片付けや食材の残りなど、片付けをしっかり行うことは重要です。「お庭バーベキュー」であれば、倉庫や収納庫が近くにあると少し楽になりますね。
バーベさん
加納
どの注意事項も「お庭バーベキュー」の敷居が高くなってしまいますね。敷居を下げるためと言いますか、「お庭バーベキュー」がしやすい便利なお庭の設計はありますか?
お庭バーベキューをするのに理想的なお庭って今まで考えた事がなかったので、難しいのですが、一番大事な事は「動線」でしょうか。
なんと言っても「お庭バーベキュー」の魅力は、バーベキュー初心者から上級者までだれでも手軽にできることです。
その手軽さをさらにスムーズにするのは「動線」です。
例えば、キッチンとお庭の距離が近いと、お料理や食材はもちろん飲み物や氷などを持ち運ぶことが容易になります。
リビングとお庭の段差が少なくなれば、庭に出るストレスが減り、お庭バーベキューのハードルは更に下がります。
他にも、収納庫とお庭の距離が短ければ、バーベキューアイテムの設置や撤収が楽になりますし、屋外の水道やシンクなどがその動線の近くにあれば、さらに掃除や食材の処理などが楽になります。
また、その「動線」は複雑化しない方がよいと思います。
お庭バーベキューを行う動線は、どんなお庭バーベキューを行うかによって大きく異なるかと思います。ご家族でのお庭バーベキューが多いか、大人数のお庭バーベキューが多いか、釣りや家庭菜園などの屋外での調理が多いか、キッチンを併用する調理が多いか、などなど、十人十色です。
言い換えると、今のお庭バーベキューのやり方はまだまだ変化の可能性を残していることにもなります。
出来る限りシンプルな動線が良いかと思います。
他にも、シンクの設置、バーベキューを行う場所の屋根設置の有無、収納方法、火の始末が容易、ご近所からの視線や近隣配慮の工夫など、考えるべきことは数えあげるとキリがないです。
ここまでは理想のお庭だったんですが、逆にこんなお庭だった嫌だなあというのもあります。
まず、椅子や道具が固定されているもの。バーベキューに対して敷居が高くなってしまいます。
先程アメリカ人の知人をご紹介しましたが、バーベキューは日常生活の一部であって、かしこまる必要はありません。ましてやご自宅でのバーベキューに手間暇をかけていたら、段々とバーベキューするのが億劫になってしまいます。
そうではなくて、手軽にバーベキューをするために、縁側のようなちょっとしたスペースに七輪を出してサクッと焼いてサクッと食べる。もちろん、バーベキュー以外にも利用用途がある空間が良いです。
ピザ窯に関しては賛否両論ありますが、ご自宅でピザを焼くことが夢だということでしたら設置されても良いと思います。個人的には出番が少ない印象ですので、そのあたりを覚悟した上でご検討してください…笑
バーベさん
余談
実は、ピザ窯のお話でかなり盛り上がりました^^;
庭にあると見栄えがするピザ窯ですが、作成がゴールになりがちという声があがり、果たして本当に実用的なのか…?とみんなで考え込みました笑
実用(継続)的に使うのであれば、使いやすい動線を考えることと、バーベキューをすることに対する敷居を下げるべきだと意見が一致しました。
ピザだけでなく肉や野菜を焼くのにも使用でき、薪の香りをつけることもできるので使用する価値は高いです!
大事なポイントは、作って終わりではなく、如何にしてピザ窯を使用できるか?を考え抜くことです♪
加納
最後に、「お庭バーベキュー」をご自宅で実現したい方に一言お願いします。
今回はバーベキューのプロとしての目線でお話させていただきましたが、バーベキューのプロがいるように、「お庭バーベキュー」に適したお庭づくりのプロもいます。
加納さんのような、エクステリアのデザインとバーベキューがしやすい環境を両立できる人はぼくらバーベキュー業界にとってもありがたい人です。
これを機に、バーベキューに興味を持ってくれる人が一人でも増えてくれたら嬉しいです。
バーベさん
取材後の加納より
バーベキューのプロのたけだバーベキューさんと様々なお話ができて、とても良い経験になりました。意外だったのは、エクステリア業者さんからの取材はタクミテーブルが初めてとのこと。お庭でバーベキューは、名古屋などの首都圏以外ではお客様からのご要望で多いはずですが、バーベさんのメインエリアが首都圏であれば何だか納得します^^;
お話する前と後では、「お庭バーベキュー」に関する考え方だけでなく、「楽しむ」ことができるお庭の設計・ご提案について深く考えるきっかけになりました。
特に「タイルデッキの方が掃除しやすくて良いですよね?」と伺った際に、「確かにそうだけど、座ったりゴロ寝するときは、芝やウッドデッキの方が気持ち良くないです?」とおっしゃった時は、「楽しむ」ことの本質を教えていただいた感覚でした。
お庭の設計・ご提案には、合理的なだけでなく「わくわく」と「キッチリ」のバランスが大事ですね。
バーベさん、また一緒にバーベキュートークで盛り上がりましょう!
- 話し手:たけだバーベキューさん
- 聞き手:加納 拓
- 会場:B-GATE AREA TOKONAME (愛知県常滑市)
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